人志松本の○○な話「中山功太のゾッとする話」解読

僕の楽しみにしている番組の一つに、「人志松本の○○な話」がある。

「人志松本の○○な話」は、おなじみ「人志松本のすべらない話」のスピンオフ企画、「人志松本のゆるせない話」をベースにレギュラー化された番組である。

「人志松本のゆるせない話」「人志松本の好きなものの話」「人志松本のためになる話」など、毎回テーマが変わる。

そして、この夏、「人志松本のゾッとする話」がスタート。

百物語(※1)を思わせるセットではあるが、意外に直球の怪談を話す人は少ない。


先日(正確には2009年08月25日)、「R-1ぐらんぷり2009」で優勝した中山功太が、ゾッとする話を披露した。

(※以下、ネタバレあり)

ざっくり説明すると、中山功太がまだ幼稚園に通っていたころ、そこにとても仲の良い吉田くんという友達がいたそうだ。

ある日、いつものように二人で笑っていると、あまりに笑いすぎた吉田くんの目玉が、ぴょんと飛び出してしまったという。

まるで昔のギャグ漫画のように、目玉は丸くその中間はちょっと細い感じ。

それを目撃した中山少年は驚き、「吉田くん今、目玉飛び出したよね!?」と、尋ねた。

すると、聞かれた吉田くんはバツが悪そうに、「う、うん。」と、あまりそのことに触れて欲しくない雰囲気。

それでも気になった中山少年は、帰り際にもう一度、吉田くんに同じ質問をしたのだが、反応は同じようなものだった。

それが気にはなっていたものの、中山少年は、次の日また普通に幼稚園に行った。

すると、吉田くんが幼稚園に来ていない。

そこで、中山少年は、幼稚園の先生に「吉田くんは今日休みなん?」と、聞いてみた。

すると、幼稚園の先生は「吉田くん、誰それ?」と、逆に聞いてきたのだった。

中山少年は驚いた。

しかし誰に聞いても「吉田くんって誰?」という返事。

吉田くんを知っている人間が誰もいない。

昨日を境に、吉田くんの存在は、この世から消えてしまったようだった…。


「人志松本のすべらない話」以降、そもそも実話を話すというルールがあるため、この話は、中山功太が話している最中から、その不思議さで、周りの人間に困惑(と失笑)をもたらした。

さらに、その着地点が、中山功太少年が当時思ったのが、「吉田くんはロボットなの?」というものであったため、共演者から非難轟々。

共演者みんなが爆笑し、出来の悪い話として片づけられてしまった。


しかし、僕は、この話がとても面白かった。

というのも、妖怪話、怪談、都市伝説などを好む僕にとっては、これは「あるある話」だったからである。

初めに思い浮かぶのは、岩手の座敷わらしだが、この「子供が何やら得体の知れないものと遊んでいる」という話は意外に多い。

だいたいが、最初、子供はその得体の知れないものを普通の人間の友達と見なしている。

そして非常に仲良く遊んでいて、その得体の知れないものも一緒に楽しんで遊んでいる。

これが大人のケースだと、得体の知れないものは危害を加えてくる話が多いのであるが、子供の場合はたいてい友好的。

ところが、ある日、何かのきっかけで、子供はその友達が普通とは違うんじゃないかと認識してしまう。

これは、今回の中山少年のように、自分でおかしいなと気付いてしまう場合もあるし、両親など周りの人間が「いつも誰と遊んでいるの?」と聞いてみると、子供が遊びに行っている家が実は空家だった、みたいに外からもたらせられることもある。

そして、いったん当人が普通とは違うんじゃないかと認識してしまうと、その得体の知れないものとは二度と会えなくなってしまうのだ。

おそらく吉田くんは目玉が飛び出したのを見られた時に、もう二度と中山少年には会えなくなることが分かっていたんだろう。

それで寂しかったんだろうな。

子供にしか見えないものってあるよなぁ。

(※1)百物語:江戸時代に流行した怪談話を語る作法。夜に100本の蝋燭(ろうそく)をつけて怪談を語り、1話終わる度に蝋燭を1本ずつ消していく。全ての蝋燭が消えた瞬間、闇の中に本物の怪異が現れるとされる。