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「邪魅の雫」感想

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かなり遅くなりましたが、京極夏彦「邪魅の雫」の感想です。

(注:基本的に以下の感想はネタバレなしの方向で書いています。ただ物語は何でもそうですが、一切予備知識を入れない方が当然楽しいので、その点はご了承ください)

京極夏彦 「邪魅の雫」文庫版

京極夏彦 「邪魅の雫」文庫版

もはや驚きませんが、厚さはこんな感じ。

「邪魅の雫」文庫版

分厚いのがいやという方には分冊文庫版も出ております。

今回はまったり3週間くらいかけて読みました。

(何せ今作でいま出ている「百鬼夜行シリーズ」全部読破したことになるので…)

さて、今回は榎さんの縁談がらみの話という、ある意味驚愕の話題からスタートします。

いつものことですが、登場人物がものスゴイ多いです。

今回は、レギュラーメンバー以外の登場人物をメモしながら読み進めました。

おかげで、けっこう混乱しないで読み進められました。

印象が似たキャラが複数出てくるのがミソですな。

途中で、事件全体の動機こそ不明瞭なものの、事実関係だけは掴め、おそらく発端はこの人なんだろうな、と思うのですが、

この人なのは切ないなぁ、と思いました。

まぁ、実際に思った通りだったんですが…。

さて、今回も楽しんで読んだのですが、妖怪大好きな僕が個人的に残念なことが1点。

それは表題になっている妖怪「邪魅」の解説がないところ。

「百鬼夜行シリーズ」では、いつも表題の妖怪について、これでもかという蘊蓄(うんちく)が語られるのですが、今回それがないんですよね。

しかしいや待て。

鳥山石燕の「今昔画図続百鬼」に登場する「邪魅」には、

「邪魅は魑魅の類なり。妖邪の悪気なるべし。」とある。

魑魅(ちみ)は山の怪で、山林の瘴気から発生する妖怪のことである。

それで妖邪の悪気なるべしとなると、結局、山の悪い気だよってくらいの情報しかない。

妖怪のなかでは、影の薄いヤツなのだ。

そのぼやっとした感じと、「邪魅の雫」の事件の不明瞭なところはわりとイメージが重なるような気もする。

それで、あえて「邪魅」をチョイスしたのかもなぁ。






 


ユーレカ!脳を活かす勉強法

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茂木健一郎「脳を活かす仕事術」に続き「脳を活かす勉強法」も購入。一気に読みました。

茂木健一郎 「脳を活かす勉強法」

茂木健一郎 「脳を活かす勉強法」

あ、ちなみに「脳を活かす勉強法」→「脳を活かす仕事術」の順番で出版されています。

茂木健一郎 「脳を活かす仕事術」

茂木健一郎 「脳を活かす仕事術」

どちらから読んでも大丈夫だと思いますけど、両方読むなら順番通りの方がいいかな?

僕の場合「脳を活かす勉強法」は、茂木先生が出演している NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」のスペシャルとかぶっている部分があったので、後回しになったのです。

録画してあるので。

まぁそれでも「脳を活かす勉強法」は読んで良かった。

当然、全部が NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」のスペシャルとかぶってるわけではないし、新しい発見も多かったので。

僕にとっては「脳を活かす仕事術」もそうなんだけど、ある程度悩んだり、試行錯誤したりしている時に、有効なきっかけがあると、突然それが解けてしまう事があるわけです。

それこそ「ユーレカ!」みたいなね。(※1)

人にもよると思うけど、やはり自分のコードに触れるものが効果が高いと思うわけ。

僕の場合は、精神論とか気合とかで説明されるとピンとこないんですよね。

そうじゃなくて、具体的に、脳の働きとか、ドーパミンとか、そういった説明をされるとすごい納得できる。

そういうわけで、「勉強」や「仕事」に関して、脳の働きの面からも説明してあるこの2冊は、自分にとってはかなりのヒットでした。

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(※1)ユーレカ(eureka):アルキメデスが風呂でアルキメデスの原理を発見した際に発したとされる言葉。本来の発音はヘウレーカ。英語発音だとエウレカ、ユリーカ、ユーリカなどとも。






 


追悼マイケル・クライトン

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先日、作家マイケル・クライトン氏がお亡くなりになりました。

ご冥福をお祈りします。

このニュースを知った時はショックを受けました。

66歳との事でしたから、早過ぎる感じですね。残念です。

マイケル・クライトン(※1)といえば、小説家のみならず、映画やドラマの脚本家(※2)でもありました。

そして、僕の大好きな「ジュラシック・パーク」の原作者です。

ジュラシック・パーク〈上〉 (文庫)

ジュラシック・パーク〈上〉 (文庫)

マイケル・クライトンは小説「ジュラシック・パーク」の原作だけでなく、映画「ジュラシック・パーク」の脚本も手がけていました。

それゆえに映画版のストーリーは、小説をブラッシュアップしたといえるもので完成度も高かったのです。

その後「ジュラシック・パーク」の続編のタイトルが「ロスト・ワールド」になる事を知りました。

「ロスト・ワールド」(※3)といえば、サー・アーサー・コナン・ドイル(※4)の恐竜小説で、未だに発見されていない秘境や生物を題材にしたものが「ロスト・ワールドもの」と呼ばれる事もあるほどの超有名なタイトルです。

「ジュラシック・パーク」の続編に「ロスト・ワールド」の名を冠してくるとは、かなりの自信作なのではないか?

そう思って、実際に小説を手に取る前からかなり期待していた思い出があります。

実際「ジュラシック・パーク」の小説と映画脚本を経て書かれた、小説「ロスト・ワールド -ジュラシック・パーク2-」はその期待を裏切らない、素晴らしい出来栄えでした。

ロスト・ワールド ジュラシック・パーク2〈上〉(文庫)

ロスト・ワールド ジュラシック・パーク2〈上〉(文庫)

これは映画化されたら、とんでもなく面白いものになる!

と、ワクワクしていましたが、残念ながら映画「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」にはマイケル・クライトンは関わっておらず、その出来は惨憺たるものでした。

何たって、主人公のイアン・マルカムが冒頭からジュラシック・パーク事件を世間に公表しようとしていて、これは小説とは真逆のスタンスで唖然としただけでなく、原作と同じなのは崖からトレーラーが吊るされたシーンくらい、あげくに最後はティラノが街で暴れまわる(もちろん原作にはない)という驚く出来でしたから。

そんな訳で、ずっと小説「ロスト・ワールド -ジュラシック・パーク2-」の続編を期待していたんですが…残念な事です。

ちなみに映画「ジュラシック・パークIII」は原作のない映画オリジナルの作品です。

主人公を第1作のグラント博士に戻し、前2作の映画ではオミットされた、原作の翼竜ドームなどを描いたりしていて、楽しめる作品になってました。

小説「ロスト・ワールド -ジュラシック・パーク2-」は、恐竜の絶滅の原因として現在主流の隕石説ではなく、仮説としてカオスの縁理論におけるビヘイビアによる絶滅という新しい視点を持ち込み、そのあたりも非常に面白かったのです。

僕の勝手な期待だったかも知れませんが、続編もありそうな感じだっただけに非常に残念です。

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(※1)マイケル・クライトン(Michael Crichton):早川書房から出版されている氏の作品はマイクル・クライトンとなっている。(ケ→ク)

(※2)「ER 緊急救命室」が有名。

(※3)ロスト・ワールド(The Lost World):邦訳タイトルは「失われた世界」

(※4)サー・アーサー・コナン・ドイル:ご存知「シャーロック・ホームズ」シリーズの作者である。ちなみに「サー」はイギリスで与えられるナイトの称号である。






 


容疑者Xの献身:読了

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映画「容疑者Xの献身」の興奮冷めやらぬなか、原作の東野圭吾「容疑者Xの献身」も一気に読み終わった。

東野圭吾 「容疑者Xの献身」 (文春文庫)

東野圭吾 「容疑者Xの献身」 (文春文庫)

映画は殆ど原作通りだったようだ。

原作ファンも映画版「容疑者Xの献身」を観てガッカリする事はないんじゃないかな。

ただ「探偵ガリレオ」シリーズは、原作者の東野圭吾が、主人公の湯川学に俳優の佐野史郎をイメージしていたのは有名な話で、小説のキャスティングに強固なイメージがあって映像化されたものを観たくないって人にはオススメしないけど。

まぁそういう人はドラマから観てないだろうしな。

実際、原作の台詞回しとかから受ける湯川学の印象は、けっこう佐野史郎っぽい。

読み始めは映画の俳優でイメージしていたけど、せっかくなんで(?)脳内でキャスティングを変更してみた。

僕がイメージする「容疑者Xの献身」のキャスティングは…。

湯川学:佐野史郎(小説版だとやはり台詞が佐野史郎的なイメージ)

草薙俊平:北村一輝(この辺はそのままイメージ)

岸谷:小泉孝太郎(若手っぽいイメージで)

石神哲哉:斉藤暁(小説の描写だと完全に彼なのだが…)

花岡靖子:木村多江(小池栄子がはねトビで出たがっていたのですがやはりムリな気が…)

花岡美里:大後寿々花(いや娘は誰でもいいのだが…)

富樫慎二:竹原慎二(じゃあの…何となく)

工藤邦明:石黒賢(このポジションってなかなかいないもんだなぁ)

小代子:りょう(流星の絆つながりで…)

ちょっと自分のキャスティングどんなもんだ!って思ったけど、まぁ映画版の方がいいかなぁ(笑)

自分でキャスティングを考えるのもなかなか面白い。


● 関連記事:真夏の方程式 其の弐
● 関連記事:「真夏の方程式」感想
● 関連記事:「容疑者Xの献身」感想





 


「百器徒然袋-風」感想

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なかなか雑事で忙しく、おかげで、京極夏彦「百器徒然袋-風」も読み終わりました。

百器徒然袋-風 (講談社文庫)

百器徒然袋-風 (講談社文庫)

何で忙しいのに読書が進んでるのか?

雑事で忙しいとスキマ時間が増えるからです。

どんな場所でもちょっと時間が空けば読書は出来ますからね。

さて、今回の「百器徒然袋-風」は「五徳猫」から始まり、「雲外鏡」「面霊気」の3編からなります。

今回の表紙は「五徳猫」

そして3編すべてに猫が関係して、丸く収まっています。

猫だけにね!

(スイマセン…)

榎木津礼二郎主役の前作第1弾「百器徒然袋-雨」に続く今作第2弾「百器徒然袋-風」でも、

事件にまきこまれるのは「僕」

第1弾では全編を通じて名前すら与えられなかった「僕」ですが、

第2弾の最初に苗字「本島(もとしま)」が与えられ、最後にはフルネームが与えられる事になります。

これで彼も名実共に(?)京極堂ファミリーの仲間入りって感じですな。

京極夏彦「百器徒然袋」は、鳥山石燕「百器徒然袋」に登場する妖怪が中心になっています。

そのため言及される妖怪が付喪神(※1)が中心になっているので、妖怪度は低いです。

しかし外伝とはいえ、京極堂こと中禅寺秋彦(※2)も普通に登場しますし、

何と言っても榎さんこと、探偵、榎木津礼二郎が快刀乱麻を断つ活躍を見せますし、面白いです。

もっと妖怪度が高いものを、という向きには、外伝「今昔続百鬼-雲」(※3)もあるあたり隙はありません。

これで「百鬼夜行シリーズ」(※4)で読んでないのは「邪魅の雫」(※5)だけになりました。

しかし既に次回作「鵼の碑」(※6)のタイトルが公開されていますし、楽しみは尽きそうにありません。

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(※1)付喪神(つくもがみ):長い年月を経て、道具や物などが妖怪化したものを指す。九十九神と表記する事も。

(※2)中禅寺秋彦(ちゅうぜんじ あきひこ):古本屋「京極堂」主人にして神主、憑き物落とし。百鬼夜行シリーズ主人公。

(※3)今昔続百鬼-雲:妖怪研究家、多々良勝五郎(たたら かつごろう)先生を中心とした百鬼夜行シリーズ外伝。

今昔続百鬼-雲(講談社文庫)

今昔続百鬼-雲(講談社文庫)

(※4)百鬼夜行シリーズ:一般に「京極堂シリーズ」と呼ばれているが、作者自身はこの呼び名があまり好きではないらしく、「妖怪シリーズ」と表記される事もあった。今回の文庫「百器徒然袋-風」の帯から「百鬼夜行シリーズ」との表記になったため、それに準じている。ちなみに前回文庫化された「陰摩羅鬼の瑕」の帯では「京極堂シリーズ」となっていた。

(※5)邪魅の雫(じゃみのしずく):僕が文庫版で揃えたいがために待っているだけで、既にノベルズ版では刊行されています。

(※6)鵼の碑(ぬえのいしぶみ):ぬえってのも面白い妖怪ですよね。






 


ファウスト

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アメリカに留学する際に、ゲーテの「ファウスト」を持っていく事にした。

理由は単純で、僕の手持ちで未読の本のうち、「ファウスト」がもっとも敷居が高かったからである。

敷居が高かった理由は文体だ。

僕が買った「ファウスト」は新潮文庫版。「高橋義孝」訳で、(一)は昭和42年発行。(二)は昭和43年発行。

僕が生まれる前の翻訳である。

読めない事はないけれど、文体が古いので、ちょっと疲れる、そんな感じである。

おかげで、買うには買ったのだが、読むを後回しにしていた。

それで、アメリカに持っていけば、他に日本語のものもないし、読まざるをえないであろうと思ったのだ。

僕が「ファウスト」に興味を持ったのは、そもそも手塚治虫の影響だ。

手塚治虫は生涯に何と3回も「ファウスト」を漫画化している。

最初の作は「ファウスト」で、ゲーテの「ファウスト」をそのまま漫画化したものである。

しかし「ファウスト」は手塚の初期作品であり、ドエトフスキーの「罪と罰」を漫画化したもの同様、子供に名作を紹介する色合いが強いものであったように思える。

次の作は「百物語」で、ゲーテの「ファウスト」を下敷きに舞台を戦国時代の日本に置き換えたものだ。

「どろろ」に近い世界観だというとイメージしやすいであろうか。

最後の作が「ネオ・ファウスト」である。これは手塚治虫が亡くなる間際まで連載されていたもので、手塚治虫の死とともに未完になった作品の一つである。

(余談ではあるが、手塚治虫の死によって未完になった作品は「ネオ・ファウスト」「ルードヴッヒ・B」「グリンゴ」の3作品である。)

先の「ファウスト」「百物語」の2作品は主人公ファウスト(百物語は一塁半里(※1))の救済によって幕を閉じるのであるが、「ネオ・ファウスト」では未完であるので、そもそもエンディングが描かれていない。

しかし、手塚治虫に対するインタビューの記録や、「ネオ・ファウスト」の前半を見るかぎり、手塚治虫は3作目の「ネオ・ファウスト」では主人公 一ノ関第一(※2)の救済をためらっていた感がある。

そもそも体調を崩しつつあった晩年に3度目も同じ結末を描くために「ネオ・ファウスト」を執筆したとは考えにくい。

しかしそこまで手塚治虫を魅了する物語とは何なのか。

そんな事を考えつつ、アメリカで「ファウスト」を読んだ。

僕のホームステイ先は土曜日の午前中にハウスキーパーの人が僕の部屋を掃除してくれていた。

そんな時は家の前のバルコニーに座って日光を浴びながら「ファウスト」を読んでいた。

最初は、面倒だと感じていた古い文体にも慣れた。

今日、モノクロ映画を観る感覚に近いというか。

慣れてくるとそんな日本語のなかの美しさが分かるようになった。

「どうか黄金の霞の中から降りてきて、己を新しい多彩な生活の中へと拉っし去ってはくれまいか。」

らっしさってはくれまいか!

ここは思わず声に出しましたね。

今やちょっと古くなっている文体ではあるが、非常に美しい日本語で訳してあるので素晴らしい。

内容も面白い。手塚治虫が3度漫画化しようとしたのも分かる。

また手塚治虫以外にも「ファウスト」をモチーフにした作品は数多く存在しているのでその影響力が伺える。

ちなみに、アメリカから日本に帰ったあと「ファウスト」は新しい訳でも出版された。(池内紀版)

池内紀版では、今日の目から見ても、読み易い訳になっている。

苦労して古い文体で読んだのに!

と言いたいところだが「高橋義孝」版を読んだ事に満足している。

「ファウスト」は現在でも「森鴎外(※3)」「高橋義孝」「相良守峯」「池内紀」と、いろんな翻訳者で作品が読めるので、好みの訳本を選ぶのもありかも知れない。

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(※1)一塁半里(いちるい はんり):百物語の主人公。ファウストの主人公、ハインリヒ・ファウストをもじった名前。一塁=ファーストという言葉遊び。のちに改名して不破臼人(ふわ うすと)となる。

(※2)一ノ関第一(いちのせき だいいち):ネオ・ファウストの主人公。やはり、第一=ファーストという事でしょう。

(※3)森鴎外(もり おうがい):かの文豪、森鴎外も「ファウスト」を翻訳してるんですね…。






 


ダーク・タワー、旅の終わり

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ついに旅が終わった。

いや、とうとう終わってしまったと言うべきか。

スティーヴン・キング「ダーク・タワー」全7部16冊読了。

ラストは、そう来るか!という感じだった。素晴らしい。

僕が「ガンスリンガー」を知ったのは15年くらい前。

その頃、スティーヴン・キング・ブームが起きたのを覚えている方もいるかも知れない。

その話題の中心は スティーヴン・キング「IT」だった。

文芸春秋から出たハード・カバーの「IT」は、そのボリューム・価格ともに豪華なものだった。

「IT」は、寝食を忘れるほど面白いと評判になり、スティーヴン・キングの著作が次々に単行本化された。

また、キングの作品は映画化・映像化されているものも多いので、接した機会のある人も多いと思う。

僕は当時、「トミー・ノッカーズ」を読み「IT」は文庫化された時に読んだ。

「IT」はスティーヴン・キングの代表作にして傑作であるのは間違いないと思う。

特にラストシーンは美しい。

しかし、その時に雑誌でひっそりと紹介されていたのがスティーヴン・キング「ガンスリンガー」だったのだ。

「黒衣の男は飄然と砂漠の彼方に立ち去った。ガンスリンガーはその後を追った。」(※1)
という出だしで始まるものすごい面白い話であると。

僕は、物心ついた時には本を読んでいたくらいで、面白い物語に対する嗅覚があると自分で思っている。

もうこれは訓練の賜物と言うか、これはいつかは読まないといけないな、というものは直感で分かる。

その時から「ガンスリンガー」はいつかは登らなければならない山であると思っていた。

ちなみに「ガンスリンガー」が「ダーク・タワー」第1部のサブタイトルである事を知ったのは後日の事。

当時のハードカバー単行本では「ガンスリンガー」のタイトルが前面に出ていた。

魅力的な「ガンスリンガー」のタイトルを考えれば不思議な事ではないと思うが。

しかし、雑誌の紹介記事によるとその作品は、

スティーヴン・キングのライフワークであり、現在進行中であるという旨が告げられていた。

ここで僕の直感は、
いま手を出すのはマズい。
と告げていた。

少なくとも、今のところは。

それから何年かして「ガンスリンガー」の続編「ザ・スリー」(※2)が刊行され、

気にはなっていたものの、いつしか記憶の片隅に追いやられていた。

そして、2005年。

2001年からのキングの執筆再開にあわせ、新訳・完全刊行の文庫版が刊行開始。

「全7部、2006年秋完結予定!」

この帯のキャッチコピーに、
ついにこの「ダーク・タワー」に登る時が来たな!
と思ったものだ。

「黒衣の男は砂漠の彼方(かなた)に逃げ去り、そのあとをガンスリンガーが追っていた。」(※3)

出版社が角川から新潮に変わり、訳者も「池央耿」から「風間賢二」に変わっての再スタート。

あの日、手を出さなかった判断も正しかった(笑)

忙しさにかまけて、読み終わったのがかなり遅くなりましたが…。大満足。

さて、次はどの山に登ろうか。

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(※1):角川版、池央耿訳の出だしの一文。

(※2):角川版、池央耿訳のタイトル。原書タイトルは「THE DRAWING OF THE THREE」風間賢二訳のタイトルは「運命の三人」

(※3):新潮版、風間賢二訳の出だしの一文。





 


京極堂の秋

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うーん。気付けば9月。

9月といえば京極夏彦。

というのは僕は「妖怪シリーズ」(※1)は文庫で読んでいるので。

文庫版の「姑獲鳥の夏」(※2)が出たのが1998年9月。

それからほぼ年に1回のペースで文庫版が出ている。

それがだいたい9月ぐらいなのだ。

ちょうど読みかけの スティーヴン・キング「ダーク・タワー」も最終巻。

これはいいタイミングだ。

と思って調べてみた。

「百器徒然袋―風」10/15発売。

今回は10月なのか…。

しかし、今回は「妖怪シリーズ」の外伝的な「百器徒然袋」

榎木津礼二郎(※3)主役の第2弾。

僕は榎さん好きなので期待大だ。

しかも、前回文庫化された「陰摩羅鬼の瑕」(※4)は、最初の「伯爵」視点から「関口」視点に移行した時点で、すべて謎が分かってしまった…。

今までにはなかった事だが、序盤も序盤で謎が分かってしまったので、ちょっと不完全燃焼気味だったのだ。

(とはいえ、このトリックは京極堂シリーズならではだと思いますけど)

その「百器徒然袋―風」の内容は、「五徳猫」「雲外鏡」「面霊気」の3編。

もちろん全て妖怪の名前です。

楽しみだ。

ちなみに「京極堂シリーズ」の文庫は、見たら驚く直方体です。自立します。

本を読める事の幸せを感じるね。めちゃめちゃ面白い。

そんな事を考える読書の秋。(注:1年中読んでます)

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(※1)妖怪シリーズ:古本屋「京極堂」主人の「中禅寺秋彦(ちゅうぜんじ あきひこ)」を主人公にした物語。広義的には「推理小説」であるだろう。主要登場人物がみんな主役級の個性の持ち主であり、実際にそのような外伝が存在する。京極堂シリーズと呼ばれる事が多い。

(※2)姑獲鳥の夏(うぶめのなつ):京極夏彦(きょうごく なつひこ)のデビュー作にして「妖怪シリーズ」第1弾。終戦後間もない東京。京極堂(中禅寺秋彦)は古くからの友人・関口巽(せきぐち たつみ)に、こう訊かれる「二十箇月もの間子供を身籠っていることができると思うかい?」と…。

(※3)榎木津礼二郎(えのきづ れいじろう):妖怪シリーズ主要キャラクターの一人。中禅寺秋彦、関口巽の先輩であり、「薔薇十字探偵社」の私立探偵。

(※4)陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず):妖怪シリーズ第8弾。「伯爵」こと由良昂允(ゆら こういん)は5度目の婚礼を迎えるため、私立探偵・榎木津礼二郎に新婦の警護を依頼する。なぜなら先の4回の婚礼ではすべて新婦が婚礼の日に命を奪われてしまっていたからである…。





 


Point of No Return

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やってしまった。

先週ちょっと風邪っぽくて、昨日も早めに寝ようとPCをシャットダウンしたところまでは良かった…。

が、ふと読みかけのスティーヴン・キング「ダーク・タワーVI スザンナの歌(下)」を手にしてしまった。

ちょっと続きを読み始めてヤバイと思った。

なんて言うんですか、ココまで読んでしまったら、もう最後まで読まなきゃダメだなって所ありますよね。

「Point of No Return(帰還不能点)」(※1)って感じですか。

最終VII部に向けてちょっとセーブしてきたんですが、もうダメだった。

ちなみに今回もクリフハンガー(※2)だった。

まぁ、もう最終VII部「暗黒の塔(上)(中)(下)」が刊行されているからイイですケドね。

読むだけですから。待ち時間ナシ。

しかし、この「ダーク・タワー」は出発から完結まで実に30年近くの年月がかかっているのですよ。

改定版を翻訳した「ダーク・タワーI ガンスリンガー」の冒頭には、

キング自身から「はじめに」と前置きがあり、

その中には余命1年と宣告されたおばあさんや、死刑囚の男から、

完結するまでに生きている事はないだろうから自分にだけ結末を教えて欲しい。

秘密はぜったいに守る。

という趣旨の手紙を受け取ったという笑えないエピソードが載っている( ̄□ ̄;)

確かにコレを完結まで読まないのはキツイかも知れない。

第VI部ではキング自身が、彼の名作「IT」ですら「ダーク・タワー」の予行演習だったと言ってのけてるくらいだ。

それでは最後の旅に出掛けましょうか。

ん〜でも旅が終わるのはツライな。

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(※1)Point of No Return:航空用語で、帰還できる限界点を示す。

(※2)クリフハンガー:話が完結せずに続くってところで終わる事。アメリカのドラマで次のシーズンに期待をもたせるために、シーズンフィナーレを(前編)で終わらせて次のシーズンは(後編)からスタートさせたりする。





 


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