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映画「ズートピア」感想(ネタバレなし)

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■完成度の高さの裏側にあるもの


●映画「ズートピア(Zootopia) 」とは

ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオによる2016年の3DCG映画。

監督はバイロン・ハワードとリッチ・ムーア。

製作総指揮はジョン・ラセターである。


●映画「ズートピア」序盤のあらすじ

動物が進化し、肉食動物と草食動物が共存するようになった現在。

ウサギのジュディ・ホップスは、幼い頃からの夢を叶え、ズートピアで小型動物として初の警察官になる。

その頃、ズートピアでは、肉食動物の連続行方不明事件が起きていた。

夢を胸にズートピアにやってきたものの、小型動物のジュディは連続行方不明事件の捜査には参加させてもらえない。

そんな時、ジュディはひょんなことからキツネの詐欺師、ニックと知り合うことになる…。


●感想

(注:基本的に以下の感想はネタバレなしの方向で書いています。ただ物語は何でもそうですが、一切予備知識を入れない方が当然楽しいので、その点はご了承ください。)

「動物たちの“楽園”を描く、ディズニー・アニメーション最新作! 」

その「ズートピア」の予告編を観た時は、数ある子供向けディズニー映画の1本かな、くらいの印象を受けた。

しかし、いざ映画本編を観終わると…。

うーん。

唸った。

完璧である。

僕はブログには公開していないものの、個人的に観た作品には点数を付けていて、「ズートピア」は、今年観た映画の中では最高点をマークしている。

今回、僕が行った劇場では、日本語吹替版のみが公開されていた。

個人的には字幕版を観たいところだが、ターゲットを考えれば当然のことだろう。

最初に驚いたのが、映像中の英語で表記されているであろう文字が日本語表記になっていたこと。

単に台詞を日本語に吹き替えるのみならず、素材である映像までローカライズしたものを準備してくるのか…。

しかし、原稿執筆の時点で調べてみると、どうやら、この程度のローカライズはディズニー映画では当たり前らしい。

その丁寧な仕事ぶりに驚かされる。

そして、CGの物量もすごい。

シーンが変わるたび、一体どれだけのモデリング(※)が必要なんだとクラクラしてしまう。

とにかく全編に渡って丁寧に作られていて、クオリティが高い。

この高い完成度はいかにして生まれたのか…。


時代によって浮き沈みはあるものの、そもそもディズニー・アニメーションのクオリティは高かった。

1992年にアニメーション作品でありながら初めてアカデミー賞にノミネートされたことで話題になった「美女と野獣」など、クオリティの高い作品は多い。

しかし、そのディズニーが2004年に手描きのアニメーションからの撤退を発表し、世界を驚かせた。

のちに撤回されるものの、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオが、その制作方法の主軸を手描きスタイルから3DCGに移行するというニュースは衝撃的であった。

僕がこのニュースに驚いたのは、もう一つ理由がある。

それは、

「ピクサーと競合するじゃないか!」


ピクサー・アニメーション・スタジオについては今更説明する必要もないだろう。

その作品が、そのまま3DCGアニメーションの歴史と言える世界でもっとも有名な製作会社である。

ピクサーはウォルト・ディズニー・ピクチャーズとの関係が深く、ディズニーの3DCG映画はピクサーが担っているという印象があった。

そのため、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオとピクサーが、ともに3DCGによるアニメーション制作を選択し競合することは、あまり良いニュースには思えなかった。

しかし、2006年に驚くべき事態が起きる。

ウォルト・ディズニー・カンパニーがピクサーを買収。

そして何と、ピクサーを代表する「トイ・ストーリー」「カーズ」の名監督、ジョン・ラセターがピクサー・アニメーション・スタジオとウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ両方のチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任するのだ。

これにより、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの3DCGアニメーションのクオリティが底上げされることが予想できた。

昨年、NHKで放送された「魔法の映画はこうして生まれる/ジョン・ラセターとディズニー・アニメーション 」をご覧になった方も多いだろう。


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そこには、まさに予想した以上の仕事が行われていた。

そして現在、ラセターのノウハウが浸透した結果が、このクオリティということである。

そのクオリティの高さは、何も映像面に限ったことではない。

映像面で驚いていたのは最初のうちだけ。

僕は、すぐに「ズートピア」のストーリーに引き込まれた。

動物たちが暮らす夢の世界、という入り口ではあるものの、そこは決して夢の世界ではない。

警察官は身体の大きな動物の仕事である、ウサギは人参を作る、キツネはずる賢い…。

古くからの慣習で、種族によってやれることは自ずと決まっており、そこには厳しい格差と現実がある。

そんな世界にあって、ウサギの主人公ジュディは、厳しい訓練をパスし、小型の動物として初めての警察官になる。

しかし、実際には配属された日から、上司から冷遇を受ける。


本作「ズートピア」では、

「決してフェアではない世の中で、自分の出自にかかわらず、夢を信じて努力する」

というテーマが高らかに謳われる。


それを、子供でも理解できるストーリーに落とし込んでいるのだ。

ストーリー各所には、笑いあり涙あり。

そして、子供を劇場に連れて行った大人にしか分からないような笑いネタまで盛り込まれている。


テーマ、ストーリー、キャラクター、映像、音楽、すべての要素が高い次元でまとまっていて、文句の付け所がない。

現在のディズニー&ピクサーは、チームによりディスカッションを行い、そのノウハウをチーム(スタジオ)が共有している。

これこそが、今日のディズニー&ピクサーの強みであると言えるだろう。


ズートピア_感想イラスト

"お前はフェネックだ"

"動物の種類から推理する"



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(※)モデリング:3Dデータを作成する作業のこと